ホアキン・ロドリーゴ

ホアキン・ロドリーゴ

生 : 1901年11月22日(スペイン王国、サグント)/没 : 1999年7月6日(スペイン王国、マドリード)

ホアキン・ロドリーゴ (Joaquín Rodrigo) はスペインの作曲家。代表作に『アランフエス協奏曲』などがある。

生涯 | Biography

ホアキン・ロドリーゴはバレンシア地方のサグントにて、1901年11月22日に生まれた。この日は偶然にも音楽の聖人である聖セシリアの日と同一であった。3歳の頃に罹患したジフテリアの後遺症で失明したため8歳の頃から音楽のレッスンを受け、16歳になるとバレンシアでフランシスコ・アンティッチ (Francisco Antich) に作曲および和声を学んだ。

ロドリーゴは1927年パリへ移住し、エコール・ノルマル音楽院にて5年間、ポール・デュカスの指導を受けた。ロドリーゴはパリでピアニストおよび作曲家として頭角を現し、オネゲルやミヨー、ラヴェルといった当代を代表する音楽家と親交を結んだ。1933年、トルコ人ピアニストのビクトリア・カムヒ (Victoria Kamhi) とバレンシアで結婚。二人は生涯に渡って仕事上のパートナーでもあり続けた。その後ロドリーゴは奨学金を得てパリに戻り、パリ音楽院(コンセルヴァトワール)およびソルボンヌ大学にて学究を続けた。

ロドリーゴはスペイン内戦期にフランスやドイツをはじめ、オーストリアやスイスと欧州各国を転々とし、1939年にマドリードへ帰還し、以後生涯を通じてこの都市に居住した。1940年『アランフエス協奏曲』によりコンサートデビューを飾ると、すぐにスペインを代表する作曲家として認知されるようになった。その後数年は作曲活動を縮小し、新聞記事などの執筆活動を盛んに行ったほか、スペイン国営ラジオやスペイン国立盲人協会 (ONCE) にて勤務した。1947年、ロドリーゴはマドリード・コンプルテンセ大学にて、彼のために新設された「チェア・マニュエル・デ・ファラ」と称する教授職に就任し音楽史の講座を担当、さらに1950年には王立サン・フェルナンド美術アカデミー会員に選出された。

アランフエスの王宮

この時期ロドリーゴはスペイン国内のみならず欧州、アメリカ、さらにはイスラエルや日本へ演奏旅行に赴き、また教育やピアノリサイタルといった多様な活動を行った。中でもアルゼンチン(1949年)、トルコ(1953年、1972年)、日本(1973年)、メキシコ(1975年)、ロンドン(1986年)で行ったコンサートが重要なものとされる。

アルフォンソ10世賢王大十字章(1953年)やフランスのレジオン・ドヌール勲章(1963年)、アストゥリアス皇太子賞(1996年)などの褒章を得、またベルギー王立芸術アカデミー会員(1978年)、サラマンカ大学(1964年)、南カリフォルニア大学(1982年)、バレンシア工科大学(1988年)、マドリード大学、アリカンテ大学(1989年)およびエクセター大学(1990年)の名誉博士号などの栄誉職に就任した。

1991年から1992年にかけて、ロドリーゴの90歳の誕生日を祝うコンサートが世界各地で行われた。また1991年には国王フアン・カルロス1世により「アランフエス庭園侯」の爵位を授与された。その後1999年7月6日、ロドリーゴはマドリードの自宅にて、家族に看取られながら息を引き取った。ロドリーゴの一人娘であったセシリアはヴァイオリニストのアグスティン・レオン・アラと結婚し、1999年に「ホアキン・ロドリーゴ財団」を創設した。

「ネオ・カスティシスモ」(新生粋主義)とも称されるロドリーゴの作風は保守的で、彼自身の言葉を借りると「伝統に忠実」なものだった。ロドリーゴの初期作品はグラナドスやラヴェル、ストラヴィンスキーなどの影響が色濃かったが、その幅広い音楽知識と相まって、次第にスペインの伝統文化や国民性を前面に押し出した独自のスタイルを確立した。ローマ時代の歴史から現代詩まで幅広い分野のスペイン文化に取材したロドリーゴの作風は唯一無二のものとされる。

作品一覧 | Works

参考文献 | Bibliography

  1. Rodrigo (Vidre), Joaquín | Grove Music [https://doi.org/10.1093/gmo/9781561592630.article.23647]
  2. Joaquín Rodrigo [https://www.joaquin-rodrigo.com]
1988年生まれ。東京大学文学部卒業後、同大学院進学。現在はパリ社会科学高等研究院にて在外研究中。専門は近代フランス社会政策思想史。好きな作曲家はジャン・シベリウス。Doctorant à l'Ecole des hautes études en sciences sociales, ingenieur d'études. Histoire politique et culturelle.
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